段差に気づかず踏み外す
ローマで夕食を食べ終えた後、そんなに遠くはないからとトレヴィの泉に行ってみる事にした。
途中でかわいい土産用パスタを見つけ、あれこれ物色して買い込み、浮かれ気分で歩いていたのが間違いだった。
差し出した右足が空を切った。あ、れ?
自分の予想したところよりも15cmか20cm下に地面があり(工事で歩道に段差が出来ていたのだ)、そこにどうにか着陸した右足はひねった状態だった。
しかも体は右足に重心を移す気満々だったため、ひねった右足にモロに体重が乗った。
ぐきっ
自分の足から、嫌な音が聞こえてきた・・・。
救急車で病院に運ばれる
途中で貧血を起こしたりしながらも、夫の支えを得てどうにかホテルに帰りついた。
痛みの具合から骨まではいってなさそうだし、でも思いっきりひねっているのだから固定をしておきたい。
旅行保険をかけているのだから、病院に行っておこう。
でもその前に保険会社に問い合わせしてみようか。
ホテルのフロントで電話を借りることにした。
イタリア語はおろか、英語さえまともに話せないわたし達夫婦はホテルのフロントで一騒動。
こちらの言い分が伝わっているのかいないのか、話は迷走し、ついにはフロントのお兄さんと夫が近所の日本食レストランに出向いてそこでバイトしている日本人に通訳してもらって意思疎通を図る、なんて場面もあった。
結局保険会社は電話してもつながらず、保険会社の提携病院はかなり遠方(タクシーなら40ユーロくらいかかるとのこと)、近くの病院(車で5分位)はどうかと勧められた。
そして救急車を呼んだらどうだ、という話まで出てきた。
救急車!たかが捻挫で?そんな、大げさな!
でも勝手のわからない異国で、提携でもない病院へ、しかも夜遅い時間だ。
それもいいかも・・・と思って、救急車を呼んでもらうことにした。
後になって思えば、救急車で行ったのは正解だったと思う。
タクシーで行っていたら受付で説明するのにまた一苦労したかもしれない。
救急車だと救急隊員の方が病院側とある程度話をしてくれるので、その辺が省略されたのだ。
救急車の中で状況等を聞かれたが、言葉の不自由さをカバーするためにあらかじめ書いておいたメモを隊員に見せた。
それは簡単なイラストに英単語を書いたもので、そのメモを見たホテルのお兄さんがイタリア語を書き加えたものだった。
メモを見た隊員は、あはっと笑った。
イタリアの病院で診察と手当を受ける
病院で救急車の担架からストレッチャーに乗り換えた。
しばらくして病院側と話し終えた救急隊員の方が
「あなたは軽症だから、あとに回されるだろう」
みたいなことを告げて帰っていった。
事実、病院にはわたし以上の重症者が何人もいて、わたしなんぞが救急車を使ったのは申し訳ないくらいだった。隣にいたおじさんは顔面出血して顔が腫れ上がっている。
そして言葉通り、診察まで2時間も待たされた。
すでに真夜中0時半、疲れからストレッチャーの上でうとうとしていた。
夫もストレッチャーにもたれかかってうとうと。
待機していた場所から診察室までは車椅子に乗り換えて行った。
ドクターにもメモを見せてみた。
「Oh、アニメ!」と言ってやっぱり笑った。
簡単な英単語でやり取りしたが、ひとつ聞き取れない単語があって「?」な顔をしたら、ドクターはうーんと考えて、手で大きなお腹を描いて見せた。
ああ、妊娠の有無か。レントゲンの確認だね。ちゃんと聞いてくれるんだ。
レントゲンは前・横の2方向から撮った。
骨には異常が無く、捻挫であること、3日間は朝昼夜各30分位冷やせ、寝るときは足をあげて、薬を飲んで、2,3日は歩き回るな・・・などと説明を受けた。
足は包帯と幅7cm位あるテーピングでぐるんぐるんに巻き上げられた。
不思議なことに、病院代は請求されなかった。
診察室から車椅子に乗って、出口まで連れてこられて終わり。・・・いいの?
受付でタクシーを呼んでもらってホテルに戻った。時すでに1時半だった。
朝、ホテルではケガの話が伝わっていたのか、朝食が部屋に運ばれてきた。ありがたい。
痛みがそんなにあるわけではないが、歩きづらいのでホテル近くの薬局に行って杖を買った。26ユーロを25ユーロにまけてくれた。
杖を得た私は、「歩き回るな」というドクターの言いつけを守らずに、この日はローマを、次の日はポンペイを観光して回ったのだが、案の定、夜中に足の痛みで目が覚めるハメになった。
予定通りとはいかなかったが、そこそこ観光をして旅を終えることが出来たので、満足している。
また観光地や階段などでも、道を譲ってもらったり、待ってもらったり、車椅子用のゲートを通してもらったりと、周りの方にもいろいろ気を遣っていただいた。とてもありがたかった。
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