霧に煙るサンマリノ
ヴェネツィアを発ったときは気持ちいいくらいの青空だったのに、昼過ぎに着いたサンマリノは霧で真っ白。要塞からの眺めを楽しみにしていたのに、なんてこと!
そんな天気のせいなのか、それとも他になにか理由があるのか、観光客もまばらなら、開いているお店もぱらぱら。なんともうら寂しい。

それでも、つづら折になっている坂道をガシガシと上がっていく。坂の町は歩くのには大変だけど、景色的には面白みがあって大好きだ。
だけどこの5m先になにがあるのかもわからないような霧の中では、いつものように「この先にはなにがあるんだろう、わくわく!」といった感じよりも、「この先はどうなってるんだ?どこに行ってしまうんだ?大丈夫なのか?」といった不安のほうが大きく、先読みができないことがこんなにもストレスに感じるのだと、改めて知った。

この霧がやっと晴れたのは、わたしたちが夕飯を食べている間のことだった。
リストランテを出ると嘘のように白いベールは無くなっていて、かわりに山の上らしいシンとした冷たい空気に包まれた夜の帳が下りていた。
人気のない石畳の町を、オレンジ色の街灯が照らしている。

霧のサンマリノでの唯一見学したのは、チェスタの塔(第2の要塞)とそこにある兵器博物館だ。剣やら鎧やらが展示してあった。他に見学者もいなくて、係の人もなんだかヒマそう。
旅行出発前に夫が希望していたフェラーリ博物館には結局行かなかった。城門の外、山の少し下のほうにあったみたいなのだ。
「霧で視界がきかない」
たったそれだけのことで、動き回るのが億劫になってしまっていた。日常、いかに視覚に頼っているのかを思い知らされる。
夕食後に霧が晴れたのを受け、翌日は早めに起きて朝食前に散歩に出かけた。霧ではっきりしなかった町の風貌があらわになってくる。
ああ、くやしいな、こんな青空の下で要塞から景色を眺めたら、どんなにすばらしかっただろう!
だけど天気だけは運だ、なに、またリベンジすればいい。

「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったもので、ローマを目指して早々にホテルを発って車を走らせていた私たちの視界に、とんでもない風景が飛び込んできた。
3つの要塞を従えた、ティターノ山。サンマリノ共和国のある山。
青空の下で聳え立つその風景は雄雄しく、圧倒された。
「サンマリノ、また来るからね!」

サンマリノで入国スタンプをもらう
サンマリノのインフォメーション(城壁内にあるほう)でパスポートに入国印を押してくれるという情報があった。せっかくだからと足を運んでみたら、「お値段2.5ユーロ」と書かれていた。
え、お金とるの~!と思ったが、まあ記念だからとお願いすることに。そしたら2.5ユーロ分の切手を貼ってそこにスタンプを押してくれた。さすが、切手が観光収入のひとつとなっている国だ。
でもいいの?パスポートに切手を貼るのって。
・・・まあ、いいか。

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